2018/03/21
世界最高水準の研究や教育を目指す「指定国立大学法人」として、文科省が名古屋大と東京工業大を追加した。これを報じたニュースイッチ(3/21)によれば、名古屋大は地域の国立大学を束ねる“1法人複数大学”構想を打ち出した。名古屋大が掲げる「マルチ・キャンパスシステム」は、地域の中小規模国立大学とともに1法人になるもの。法改正が必要なため、政府で議論中の仕組みだ。名古屋大は旧帝大のうち最後発で規模も小さいため、他大学と弱みを補い合うメリットを重視する。岐阜、三重、名古屋工業大などが連携対象になりそうだ。国立大学の再編となる「1法人複数大学」プランを、名古屋大が持ち出したことは興味深い。
東京工業大は、社会との対話を重視する「未来社会デザイン機構」を新設する。科学技術による未来社会像を卒業生や外部を巻き込んで議論する。国際広報企画室での発信に加え、人材多様化や若手教員による未来型研究につなげていく。指定国立大は世界の有力大学との競争がミッションだ。第3期中期目標期間中(2021年度まで)の指定で、条件を満たす7大学が申請し、2017年6月に東京大、京都大、東北大が指定されていた。今回の2大学は計画を練り直しての再申請だった。また大阪大と一橋大は、指定候補でありながら今回、申請自体をしなかった。大阪大は入試ミスで大学ガバナンスの問題を露呈しており、一橋大は世界トップ大学と競う研究力が不足しているなどが要因だろう。文系の学術の国際競争力が低いことは、日本の大学全体課題でもある。